新電力コラム

2020.1.07卒FITとは?卒FITについて詳しく解説&卒FIT後の4つの選択肢について

2019年11月、いよいよ「家庭用太陽光発電の買取義務期間」が終了します。

 

10年前、いち早く太陽光発電を導入した約53万世帯がいわゆる【卒(卒業)FIT(固定価格買取制度)】を迎えるのです。

 

卒FIT_新電力①

 

一般的家庭でも大きな話題になっていますから、2019年11月に卒FITを迎える方はもちろん、今後卒FITを迎える“予定”の方からも弊社へたくさんのお問い合わせを頂いています。

 

そこで今回は「卒FITとはなんなのか?」「卒FIT後の選択肢とは?」について詳しくご説明したいと思います。

 

卒FITは太陽光発電を導入しているご家庭なら遅かれ早かれ“必ず”直面する問題です。「うちはまだ卒FITを迎えるまでに時間があるから」と油断せず、今からしっかり情報収集しておきましょう。

 

 

「卒FIT」とは?

 

「卒FIT」とは、文字通り【再生可能エネルギーのFIT制度(固定価格買取制度)】からの卒業を意味します。はじめて「卒FIT」を迎える年にかけ【2019年問題】とも呼ばれており、そちらの名称で覚えているかたもいるかもしれませんね。

 

「卒FIT」を理解するには、まず再生可能エネルギーのFIT制度について知っておく必要があります。気になる卒FIT後の選択肢をご紹介する前に、「そもそもFIT制度とはなんなのか」を簡単にご説明したいと思います。ここは読み飛ばしても大丈夫ですが、しっかり読んでいただくと【卒FIT】や【卒FIT後の選択肢】についてより深く理解できるはずです。

 

 

再生可能エネルギーのFIT制度とは

 

卒FIT_新電力③

 

再生可能エネルギーのFIT制度とは、太陽光、地熱、水力などの再生可能エネルギーを用いて発電された電気を国が定める価格で一定期間【地域指定の電力会社(大分県の場合、九州電力様)】が買い取ることを義務付ける制度です。ご家庭向け太陽光発電の場合、10年間の固定価格買取義務期間が設けられています。

 

2009年にいち早く太陽光発電を導入したご家庭は10年間、これまで自家消費できなかった余剰電力を地域指定の電力会社に48円/kWhで買い取ってもらっていたと思います。しかし導入から10年が経ち、2019年11月…いよいよその買取保証義務期間が終了するのです。

 

48円/kWhという余剰電力の買取価格は現在の日本、さらに諸外国と比較しても非常に高額。その高額な売電収入が一気になくなる訳ですから、昔から決まっていたこととはいえ「はい、そうですか」と簡単に頷けるものではありません。そのため【卒FIT】【2019年問題】は数年前から大きな話題となり、注目を集めてきました。

 

FIT制度の目的は、再生可能エネルギーの普及

 

日本は(後述するさまざまな理由から)再生可能エネルギーの普及を急務としてきました。しかし、再生可能エネルギーを用いた発電は、従来の発電方法に比べ設備費、維持費共に高額であり、それが普及の妨げになっていました。そこで国(実際には電力会社)が一定期間、再生可能エネルギーで発電された電力を、他の電力より高く買い取ることで普及促進を図ったのです。

 

この目論見は見事成功し、FIT制度導入以降、再生可能エネルギー、特に太陽光発電は一気に普及していくことになります。

 

再生可能エネルギーの普及が必要とされる理由

 

・温室効果ガスの削減

 

現在CO2(二酸化炭素)による地球温暖化が問題視されていますが、その大きな原因となっているのが火力発電。化石燃料の燃焼で大量のCO2が排出されるのです。CO2を排出しない再生可能エネルギーの普及は地球環境保護のために非常に重要であるといえます。

 

・エネルギー自給率の向上

 

日本は、エネルギー資源(化石燃料など)のほとんどを輸入に頼っています。しかしそれは永続的なものとはいえません。化石燃料の枯渇、世界情勢の変化等により今後「輸入による確保」が難しくなることも十分考えられます。

 

また、東日本大震災以降、原子力発電に対する是非も問われるようになりました。これもエネルギーの自給率を下げている要因です。国内で生産できる安全でクリーンな再生可能エネルギーの普及は日本にとって大きな課題といえます。

 

その他にも、「地域活性化(再生可能エネルギーは都市部より郊外・地方部の方が充実しているため)」、「雇用の創出」「化石燃料を購入するための費用の削減」などさまざまな意義が見出されています。

 

 

FIT制度の移り変わり(歴史)

 

2009年11月:太陽光発電の余剰電力買取制度スタート

 

太陽光発電システムの普及を目的に、高額な買取価格が設定される。

 

○2009年の一般家庭の余剰電力の固定買取価格:10年間48円/kWh

 

ここで太陽光発電を導入した方が今回の卒FIT対象です!

 

2012年7月:FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)スタート

 

再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)で発電された電気が対象。太陽光発電の余剰電力買取制度もこのFIT法へ移行。東日本大震災の影響もあり、太陽光発電が一気に普及する。

 

○2012年の一般家庭の余剰電力の固定買取価格:10年間42円/kWh

 

このあたりで太陽光発電を導入した方も卒FIT目前です!

 

2017年4月:改正FIT法スタート

 

FIT法におけるさまざまな問題点が顕在化。問題点を改善するために改正FIT法を施行しました。

 

問題点とその対策(一部)

 

・再エネ賦課金による国民の負担増大

 

電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際にかかる費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として、電気を使用している全てのご家庭から徴収されています(電気代に上乗せされている)。

 

太陽光発電が普及するにつれ、この「再エネ賦課金」も増大。国民にとって大きな負担となっていきました。そのため、固定買取価格決定の仕組みを見直し、固定買取価格を引き下げが行われます。

 

・(発電所の)未稼働案件の増大

 

FIT制度による余剰電力の固定買取価格は、太陽光パネルなどの設備費の価格(発電コスト)に基づいて算出されます。

 

FIT制度施行により太陽光発電は一気に普及し、それに伴い、太陽光パネルなどの設備費は随分値を下げました。つまり固定買取価格もどんどん安くなっていったのです。

 

未稼働案件とは、固定買取価格が高額の時にFIT認定を受け放置、設備費(発電コスト)が下がってから稼働させ“不当な利益”を得ようとする未稼働の発電施設を指します。FIT認定を受けた後、一定期間が過ぎても発電をはじめない事業者にはさまざまなペナルティが課せられるようになりました。

 

○2012年の一般家庭の余剰電力の固定買取価格:10年間30円/kWh(出力抑制あり)、28円/kWh((出力抑制なし)

 

ちなみに2018年以降の余剰電力固定買取価格は以下の通りです。

 

○2018年の一般家庭の余剰電力の買取価格:10年間28円/kWh(出力抑制あり)、26円/kWh (出力抑制なし)

○2019年の一般家庭の余剰電力の買取価格:10年間26円/kWh(出力抑制あり)、24円/kWh(出力抑制なし)

 

 

卒FIT後の4つの選択肢

 

卒FITを迎える方が一番気になっているのが「卒FIT後どうするか?」ではないでしょうか?

 

太陽光発電システム(ソーラーパネル)の寿命は20〜25年といわれていますから、卒FITを迎えるご家庭の太陽光発電システムもまだまだ現役。これからも頑張ってもらわなければなりません。

 

ご家族にとって、そして社会にとって“ベストな選択肢”とはどのようなものなのでしょうか?ここでは卒FIT後の4つの選択肢について詳しくご説明していきます。

 

 

第1の選択肢:継続して地域指定の電力会社(大分の場合九州電力様)に買い取ってもらう

 

卒FITを迎えるにあたり、地域指定の電力会社も続々と買取義務期間終了後の余剰電力買取価格を発表しました。そう、卒FIT制度後も買い取ってはもらえるのです。面倒な手続きなどは一切不要、そのまま継続するだけですから、これが一番楽な方法といえます。

 

ただし!余剰電力の買取価格は大幅に下がります

卒FIT_新電力⑥

 

九州電力様の場合48円/kWh(2009年の買取価格)→7円/kWhです。

 

「10年間も高値で買い取ってもらったし、もういいよ。十分元は取れたよ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし果たして本当にそうでしょうか?

 

2009年11月に卒FITを迎えるご家庭は、太陽光発電の設備費を売電収入でペイできていない

 

上記の「未稼働案件の増大」で述べたように、太陽光発電の普及、それに伴う設備費の値下がりを受け、余剰電力の買取価格は48円→42円→38円、、、、と、どんどん下がっていきました。

 

「じゃぁ、今回卒FITを迎える初期に太陽光発電を導入したご家庭はすごく得したんじゃないの?」そんな風に思う方も多いでしょう。

 

しかし答えはNO。なぜなら10年前は太陽光発電の設備費が非常に高く、10年間「48円/kWh」という高値で売電しても設備費をペイできていないケースが多いのです。

 

もちろん、2009年にいち早く太陽光発電を導入したご家庭は、「売電収入で儲けよう」ではなく「安全でクリーンなエネルギーを使い、少しでも地球環境保護に貢献しよう」という意識が強かったと思いますが、、、それでもやはり、設備費を回収できるに越したことはありません。

 

値下げを受け入れるか、少しでも高い売電収入を確保するために他の選択肢を模索するか。——皆さんはどちらを選びますか?

 

「継続して九州電力様に買い取ってもらう」のメリット・デメリット

 

【メリット】

手間がかからない

 

【デメリット】

余剰電力の買取価格が大幅に下がる(最終的に、売電収入で太陽光発電の設備費をペイできない可能性がある)

 

 

第2の選択肢:少しでも高く買い取ってくれる電力会社(新電力)を探す

 

2016年4月の電力全面自由化を受け、さまざまな事業者が電力小売事業に参入しました。新規参入した新しい電力会社は、地域指定の電力会社と区別するために新電力と呼ばれています。(電力自由化についての詳細は「電力自由化について知ろう」をご覧ください)

 

令和元年12月現在、新電力の数はなんと全国に660社以上!!さらに今も毎月10件前後のペースで増え続けています。

 

卒FIT_新電力④

 

新電力のほとんどが余剰電力の買取サービスを行っていますから、その一つ一つを精査し「一番高く買い取ってももらえる新電力」を探すのも一つの方法です。しかし、膨大な新電力の中から信頼できる会社を選ぶのはとても大変。

 

新電力ごとにポリシーも、プラン内容も、付随する条件も違いますから、インターネット上で公開されている【余剰電力の買取価格】だけを参考にして判断するのは少々危険です。新電力を選ぶ際のポイントは「新しい電力会社(新電力)の選び方」で詳しくご紹介していますので、ぜひ一読してみてください。

 

上記は電力会社乗り換えの際のポイントではありますが、十分参考になると思います。「新電力に買い取ってもらう=その会社と長いお付き合いになる」訳ですから慎重に選ぶようにしましょう。

 

「高く買い取ってくれる新電力を探す」のメリット・デメリット

 

【メリット】

九州電力様に継続して買い取ってもらうより、多少の買取価格UPが期待できる

 

【デメリット】

信頼できる新電力を探す手間がかかる

 

 

第3の選択肢:蓄電池を購入し、発電した電気を全て自家消費する

 

余剰電力を売る代わりに、家庭用蓄電池に貯め、まるっと自家消費する方法です。

 

卒FIT_新電力⑤

 

この方法なら発電できないとき(夜、雨の日等)も蓄電池に貯めた電気を使えますから電気代はかかりません。また、以下の理由から単純に余剰電力を売るよりも経済的です。

 

余剰電力を売るより自家消費した方が経済的な理由

 

太陽光発電を設置しているご家庭は、「昼間:発電した電力を自家消費(使いきれなかった分は売電)」、「夜:安い深夜電力を購入して使用」。このようなパターンがほとんどだと思います。

 

上記を踏まえ、九州電力様のプランで比較すると、、、

 

○2019年11月以降の余剰電力買取価格:7円/kWh

○深夜電力13.25円/kWh(再エネ賦課金を含む)

 

7円/kWhで余剰電力を買い取ってもらうより、13.25円/kWhの深夜電力を自家発電で賄った方が断然お得であることがお分かりいただけると思います。

 

また、蓄電池は災害時にも役立ちます。大規模停電が起こっても、昼間発電した電気を蓄電池に貯め、いつでも使うことができるからです。蓄電池に補助金を出す自治体も増えており、現在蓄電池への注目が高まっています。

 

蓄電池の最大のデメリット

 

ですが蓄電池にもデメリットは存在します。それは高額な設備費です。一般家庭用の蓄電池で100万円前後〜200万円前後(価格はメーカーやタイプ、貯められる電気の量によって変わります。)

 

太陽光発電の普及に伴い蓄電池も随分と安くなりましたが、それでもサラリと出せるような金額ではありません。しかも蓄電池には使用期限があります。普通の充電式電池と同じように一定回数充電すると寿命を迎えるのです。タイプにもよりますが、蓄電池の寿命は6年〜10年程度。

 

蓄電池はかなり便利&経済的な選択肢といえますが、蓄電池が寿命を迎えるまでに“電気代がお得になった分”で蓄電池の購入費用をペイできるのか、、、といえば、残念ながらほとんどの場合ペイできません。

 

ただし、これはあくまで“今現在”のお話。卒FITを迎え、今後蓄電池の需要はさらに高まることが予想されます。需要が高まり普及が進めば当然、蓄電池の値段はさらに下がります。しかしそれが【いつ】【どのくらい】下がるのか明言できないのが悩ましいところ。蓄電池の購入をお考えの方は、値段の推移に注目しておく必要があります。

 

「蓄電池を購入し、発電した電気を全て自家消費する」のメリット・デメリット

 

【メリット】
・発電した電気を全て自家消費できる(電気代がかからない)
・地域指定の電力会社に継続して売るより経済的
・災害時に役立つ
・補助金が使える可能性がある

 

【デメリット】
・蓄電池は購入費用がかなり高額
・蓄電池には寿命がある(寿命を迎えるまでに、蓄電池の購入費用を“電気代がお得になった分”でペイできない可能性がある)

 

 

第4の選択肢:昼間の電力の有効活用+高値売電「SUN給(サンキュー)プラン」

 

今までご紹介した1〜3の選択肢にはそれぞれメリット・デメリットがあり、頭を悩ませている方も多いと思います。

 

そんな方々に自信を持っておすすめしたいのが、全く新しい第4の選択肢、新電力おおいたのオリジナルサービスSUN給(サンキュー)プラン」です。

 

卒FIT_新電力②

 

「SUN給(サンキュー)プラン」とは

 

新電力おおいたのオリジナルサービス「SUN給(サンキュー)プラン」とは、昼間にエコキュートを稼働させることで、“昼間の電力”を効率的に自家消費、深夜稼働していたエコキュートを昼間稼働に切り替えることで給湯効率が大幅にUP!さらに、春・秋は出力制御の対象になることが多い“昼間の電力(貴重な再生可能エネルギー)”を有効活用することができます。
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自家消費できなかった電力は、新電力おおいに10円/kWhで売電(九州電力様は7円/kWh)。※買取単価は、今後見直しになる可能性があります。

 

上記の<再生可能エネルギーの普及が必要とされる理由>で述べたように、再生可能エネルギーの活用は地球環境保護の観点等から非常に重要です。しかし、太陽光発電の普及により、現在電力消費量が減少する春・秋に、「昼間の電力が大量に余る」という事態が発生しています。

 

ですが、電力は需要と供給のバランスが崩れると大規模停電などのトラブルを招くため、春・秋は頻繁に太陽光発電の出力制御(発電を強制的にとめる)が行われているのです。これでは太陽光発電を普及させた意味がありません。

 

この事態を解決するには、電力の使用を「夜間」から「昼間」にシフトしていく必要があるのです。「本来無駄になる(出力制御される)はずだった昼間の電力を自家消費して使ってしまおう」ということですね。

 

そこで私たちは、今まで安い深夜電力を使い夜間稼働させていたエコキュートを昼間に稼働させることで昼間の電力を効率的に自家消費する方法を考案。さらに、「再生可能エネルギーの有効活用促進」のために、10円/kWh(九州電力様7/kWh円)というギリギリの余剰電力買取価格を設定しました。

 

SUN給(サンキュー)プラン」は、地球環境にも、皆様のお財布にもやさしい画期的なプランとして誕生しました。

 

 

<SUN給(サンキュー)プランがお財布にもやさしい理由>

 

  1. 外気温が高い昼間にエコキュートを稼働させることで給湯効率が大幅にUP&省エネを実現
  2. 昼間に本来九州電力様で7円/kwhで買い取ってもらうはずの昼間の電力でエコキュートを稼働させるため、13.25円の深夜電力で沸かすより経済的。<6.75円/kWhお得!!>
  3. エコキュートで使い切れなかった電力は10円/kWhで売電可能<3円/kWhお得!!>
  4. 雨、曇りで自家消費できないときは「SUNタイム:10時〜14時」の低料金(0.49円/kWh)で電気を購入できる

 

ご興味のある方はぜひ、卒FIT対応エコキュート自家消費プラン 「SUN給(サンキュー)プラン」をご覧ください。「SUN給(サンキュー)プラン」のより詳しい情報、私たちがこうしたプランを生み出した経緯や想いをご理解いただけると思います。

 

「SUN給(サンキュー)プラン」のメリット・デメリット

 

【メリット】

・昼間の再生可能エネルギーを有効活用できる(環境問題への配慮)

・経済的で効率的な電力の自家消費を叶える

・余剰電力を10円/kWhという高値で売電できる

 

【デメリット】

・新電力おおいたに乗り換える手間がかかる(お乗り換えの手間は極力かからないように工夫しています)詳しくは「乗り換えはとっても簡単!!面倒な工事などは一切必要ありません」をご覧ください。

 

 

最後に

 

卒FITは太陽光発電を設置している全てのご家庭に関わる非常に重要な問題です。

 

今回対象ではないからといって、油断してはいけません。来年、再来年…必ず自分の番がやって来るのです。そのときにどんな選択肢を選べばいいのか、今からしっかり考えておく必要があります。

 

「FIT制度が設けられた背景(環境問題等)」も考慮し、自分だけでなく社会にとってもベストな選択を心がけましょう。