新電力コラム

2023.12.27『発電側課金制度』って何?

2024年4月より“発電事業者”から“電線”の維持費を集める制度が始まります。発電側課金(系統連携接続サービス料金)と呼ばれていますが、どんな制度なのでしょうか。

 

(大分県内 鉄塔と電線)

 

実は皆さんが毎月支払われている電気料金の中には送配電設備(本コラムでは”電線“)の維持費が含まれています。託送料金(接続送電サービス料金)と呼ばれるもので、新電力おおいたも頂いた電気料金の中から九州電力送配電様に毎月お支払いしています。

現行の制度では間接的に、電気の利用者が託送料金(”電線”の維持費)を100%負担しています。この維持費の一部を“同じ電線”を利用している“発電事業者”に負担してもらう制度、これが発電側課金制度です。

 

 

 

出展:経済産業省 発電側課金の導入に向けた対応についてより

 

制度の目的は?

今後、再生可能エネルギーを増やすためには“電線”の増強が必要です。維持費も増えるため、託送料金(電気料金)は上がる一方です。そこで、“同じ電線”を利用している“発電事業者”にも維持費の一部を負担してもらい、電気の利用者が負担する託送料金(電気料金)の上昇を抑制するためとされています。

また、発電側課金に発電所の立地によって割引を設けることで、発電所を電力需要の多いエリアなどに誘導するねらいもあります。

 

 

発電側課金の対象は?

原則、“電線”に電気を流している全ての“発電事業者“が対象になります。これにはご自宅で太陽光発電システムを導入した方も含まれます。ただし、例外が設けられています。10kW未満の電源」と「FITまたはFIP制度を利用している電源」は課金対象外とされています。

 

 

出展:九州電力送配電様 託送供給等約款の認可申請についてより

 

支払額はいくらになるのか?

九州電力送配電様は1kWh当たり平均0.43円(税抜)と試算されています。ただ、立地や発電所で使用する電力の大きさ(kW)などにより割引が入るため金額は一律ではありません。

 

どうやって払う?

小売電気事業者(新電力おおいた)が送配電事業者(九州電力送配電様)の代理で発電側課金の請求(発電費用の支払い時に相殺)を行う予定です。

 

 

ただ、安心してください。制度開始当初は、発電側課金分を上乗せして購入することが推奨されており、新電力おおいたも指針通りの運用をする予定です。直ちに売電収入が減る訳ではありません。

 

発電側課金を払わなかったら・・・

発電側課金の未払いが続けば、その発電所は売電ができなくなります。

 

今後の手続きについて

発電側課金制度の対象となる発電事業者様へ九州電力送配電様から案内が届きます。まずはその内容をご確認ください。(7kW以上10kW未満の発電事業者にも制度周知の案内が届きます)

 

※新電力おおいたが契約している発電事業者様には別途ご案内をさせて頂く予定です。

 

最後に

2050年カーボンニュートラル達成に向け、再生可能エネルギーの更なる普及と、そのための送電線の増強は避けられません。

“発電事業者”にもその費用の一部を「発電側課金」として負担してもらうことで、より効率的な運用を、社会全体で考えていくきっかけになればと思います。

また、“エネルギーの地産地消”を進めていくと、電力の広域運用が減り、系統の負荷低減につながります。自家消費型太陽光発電をはじめ、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やEV(電気自動車)、蓄電池、DR(デマンドレスポンス)、エコキュートの昼間運転(弊社SUN給プランのページを参照ください)など、利用者側の取り組みで系統側の負担を減らしつつ再生可能エネルギーの利用率を上げることも可能です。

 

新電力おおいたは今後も“エネルギーの地産地消”の取り組みを進めていくことで脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

 

(参考)

九州電力送配電株式会社 プレスリリース

「託送供給等約款」の認可申請を行いました-発電側課金制度を導入し、新たな託送料金等を設定-

https://www.kyuden.co.jp/td_press_2023_231201.html